Beast Love
「……チッ、俺は忠告してやったからな? 明日から、楽しみにしてろよ」
不敵な笑みを浮かべながら教室を出て行く城之内を見守っていたクラスメイトたちは、「あーあ、これで天音も終わったな」と白い目で私のことを噂していた。
「ごめんね、私のせいでノゾミまで城之内に狙われるかも知れない……」
「ううん、気にしないで。なにも悪いことをしていないのに理不尽なことしてる城之内がおかしいんだから」
カレンは城之内に容姿の良さを指摘され、|《俺より目立っている》という理由だけでイジメられていた。
そんなのおかしいって誰もが理解できるのに、それを声に出さないで見て見ぬフリする連中と同じになんて……私は、なりたくなかった。
「私はあんなやつには負けないから、安心して」
けれど、絆を深めて微笑み合う私たちをよそに、状況はどんどん悪化していく。