Beast Love
その日以来、カレンが私に話しかけてくれることは、なくなった。


話しかけても無視をされ、かつて共に同じ時間を過ごした女子生徒たちからは「自業自得だ」「偽善者」と蔑まされ、絡まれ始める。


城之内もそれに便乗し、掃除ロッカーにしまわれている雑巾を私の頭に被せたり、今までカレンにしていた仕打ちを、私にし始める。


いじめのターゲットなんて、簡単に入れ替わる。


地獄のような日々が、幕を開けたのだ。



それも、クラス全員からいじめを受ける苦しい日々が。



助けて、なんて叫ぶこともできない。



「ノゾミん、大丈夫?」


別クラスにいるいっちゃんだけが、唯一の良心だったけれど……私は、彼女から意図的に距離を置いていた。


彼女にまでクラスメイトたちの悪意が飛び火するんじゃないかって、不安でたまらなくて。



自分と関わることでみんな不幸になってしまうんじゃないかって、怖くて。


それでも、学校だけは通い続けた。



それは、学校を休むってことはいじめをしてくる人たちに負けたってことになるんじゃないかと思う、自分に残された最後の意地だった。


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