Beast Love
胃が痛くなるような日々が続いて数週間後、夏休みを控えた終業式の朝。


ついに、私の精神は限界を迎える。



いつものように登校すると、教室内に嫌な微笑が蔓延していた。


首を傾げながら席に着くと、なぜか私の机の上に、裏返しになった色紙が置かれている。


(……なんだろう、これ)


指で掴んで表に返せば、色紙は寄せ書きになっていて。



(……な……に、こ……れ……)


そこに書かれた文字に、言葉を失う。



『やっと夏休みだね! 天音さんの顔を見なくてもいいんだと思うと、めちゃ嬉しいです』
『もう夏休み中に死んでください』
『ばいばーい』
『街中で見つけたら殺すからよろしく!』



見ないほうがいいと、読まないほうがいいと、本能が叫ぶ。


けれど、溢れる涙と心臓に走っていく亀裂は、止められない。


『夏休み中に消えてほしいです』
『教室で笑うな、キモい』
『ばい菌は滅されてください』
『城之内くんに歯向かうお前が悪い』


辛辣な言葉たちは私のすべてを否定し、殺していく。


楽しい時は笑えばいい、悲しい時は泣けばいい……じゃぁ、苦しい時はどうすればいいの?







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