Beast Love
「なにしてんの、おたくら?」
夜の街灯を浴びながら聞き覚えのある声が、淫らな行為に割って入ってくる。
「なんだてめぇ」
「邪魔すんなやクソ野郎」
「怪我したくなかったらさっさと帰れや」
逆光になっていた人型が同じ闇に染まれば、暗闇にぼんやりと顔が浮かび上がる。
「ああ? お前らこそ誰に向かって口聞いてんだよ。ぶっ飛ばすぞ」
(な、なんで……あなたが……、ここに……)
ズカズカと近寄ってきた男は、涙で濡れた私を見て目を丸くする。
「はぁ? ……ポチ、なのか?」
ガソリンスタンドのバイト終わりであろう鞄を肩から下げて現れたのは、汗だくのマサトだった。
次に彼は眉間にシワを寄せて、目つきだけで人を殺せそうな勢いで吠える。
「……お前ら、顔面潰れるまでボコるから覚悟しろよ?」