Beast Love
ー『次に人を殴れば退学だぞ』ー
かつてバスケコートで大学生と喧嘩しそうになった時、玄武くんにそう制止されていたことを思い出し、私は身を乗り出した。
「や、やめて!」
バキバキと指の骨を鳴らして今にも殴りかかりそうな勢いのマサトだけど、彼は私の声を聞いて動きを止める。
「……お前は、助けて欲しくねぇのかよ?」
自分のせいで、この人の未来を奪いたくない。
バクバクと高鳴る鼓動が、そう物語っている。
「助けて、……欲しくない。放っておいてよ」
嘘、嘘だ。
随分と前から心は望んでいた、この悪夢から目覚めたいと。
素直にそう口にできないのは、貴方が無茶をしそうで、心配で。
私に関わることで貴方まで不幸になってしまうんじゃないかって、怖くて……。
「おいこら、俺たちをシカトしてんじゃねーよ」
気付けば彼はもう表道に戻れないよう、囲まれていた。
男のひとりがマサトの胸倉を掴み、道化のような薄ら笑いを浮かべる。
「なぁ、クソガキ。俺たちのお楽しみを邪魔したこと、後悔させてやるよ」
されるがままのマサトだったが、「ああ、そうかよ」とつぶやいた後、勢い良く目の前の相手に頭突きを喰らわせた。
「あがっ、」と呻き声を上げ、男のひとりがコンクリートに崩れる。
ゆらりと立ち上がったマサトは、なんとも言えぬ気迫を兼ね備えていて。
「じゃぁ、こっからは俺が勝手にすることだから、ポチは耳塞いで目ぇでも閉じてろ」
かつてバスケコートで大学生と喧嘩しそうになった時、玄武くんにそう制止されていたことを思い出し、私は身を乗り出した。
「や、やめて!」
バキバキと指の骨を鳴らして今にも殴りかかりそうな勢いのマサトだけど、彼は私の声を聞いて動きを止める。
「……お前は、助けて欲しくねぇのかよ?」
自分のせいで、この人の未来を奪いたくない。
バクバクと高鳴る鼓動が、そう物語っている。
「助けて、……欲しくない。放っておいてよ」
嘘、嘘だ。
随分と前から心は望んでいた、この悪夢から目覚めたいと。
素直にそう口にできないのは、貴方が無茶をしそうで、心配で。
私に関わることで貴方まで不幸になってしまうんじゃないかって、怖くて……。
「おいこら、俺たちをシカトしてんじゃねーよ」
気付けば彼はもう表道に戻れないよう、囲まれていた。
男のひとりがマサトの胸倉を掴み、道化のような薄ら笑いを浮かべる。
「なぁ、クソガキ。俺たちのお楽しみを邪魔したこと、後悔させてやるよ」
されるがままのマサトだったが、「ああ、そうかよ」とつぶやいた後、勢い良く目の前の相手に頭突きを喰らわせた。
「あがっ、」と呻き声を上げ、男のひとりがコンクリートに崩れる。
ゆらりと立ち上がったマサトは、なんとも言えぬ気迫を兼ね備えていて。
「じゃぁ、こっからは俺が勝手にすることだから、ポチは耳塞いで目ぇでも閉じてろ」