Beast Love
「で、会ってみりゃ何のことはなかったよ。宇佐美兄弟は地元で盗みやったり強姦してる腐った男たちを片付けてる、ただの腕っぷしの強い掃除屋グループだった」



大好きだった人が助け出した命が、たくさんの人を助けているという事実を知り、救われたと彼は言う。


結局のところ、時間は止まらないし、残された者たちは今日という日を輝くものにするために生き続けるしかないのだ、と。


「で、俺は宇佐美先生たちとは喧嘩せずに、大人しく帰ったってわけ。それで今日にいたる」


一呼吸置いてから、マサトはいつもと変わらないやんちゃそうな笑みで顔をくしゃりと縮ませた。



「少しは緊張ほぐれたか? ちょっと待ってろ、だいぶ遅いけど夕飯作ってやる」


時計の短針は、9を指している。


時間を確認すると同時に、お腹がぐぅっと情けない音を立てた。


そう言えば私、晩ごはん食べてなかった……。


乱雑に冷蔵庫を開けて凝視するマサトが、「あー」と声を漏らす。

「うどんしかねぇわ。焼うどん、食える?」

「え! 料理できるの?! すごい! そして食べれます!」


いつも通りのマサトに釣られて私も背筋をピンっと伸ばし、台所に立つ暴君を背中越しに覗き込めば、不意に振り向いてニヤリと白い歯を見せられた。


「まぁ、簡単なもんならな。 あとで腰抜かすなよ? 俺の作る料理、超絶ウマいから」


< 351 / 548 >

この作品をシェア

pagetop