Beast Love
「うん、話さなくてもいいよ。実を言うとね、あのヤリチン息子が家に連れて来た女の子を私に見せるの、初めてなんだ〜」


マサトは今まで何人も日によって違う女子生徒を部屋に連れ込んでは、朝に帰らせていたらしい。



「だから、それくらいノゾミちゃんのことを大切に思っていて、私に力を貸して欲しいっていうメッセージだと思うから、さっきマサトから聞いた話を信じてる。なので、ノゾミちゃんの口から悲しい記憶を話してもらうのは、ナシにします」


椅子から少し腰を浮かせて、よしよしっと幼子をあやすように撫でてくれる手の温もりは、マサトとよく似ていた。


「今日はうちに泊まっていきな。部屋は、マサトと一緒の方がいいかい?」


ブンブンと首を左右に振り、拒否の意思を示す。



「あははっ! 見事なまでに嫌われてるな〜、マサトのやつ。冗談、冗談。部屋は空いてる和室があるから、そこ使っていいよ。もう来客用の布団も敷いてあるからね」
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