Beast Love
***


部屋を出ようとするマサトを、引き止める。



「ねぇ、今……私のこと、好きだって言ったの?」


彼はやはり私が寝ていると思っていたようで、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている。


が、すぐに自身の発言を否定した。


「は? なにかの聞き間違いだろ。寝ぼけてんのか?」



明らかに態度を冷たくして部屋を出て行こうとする彼に対し、モヤモヤが募ってついついムキになる。


「うそ、絶対言ってた! 言ってたもん」


(私に好意を寄せているなら、はっきり認めちゃいなさいよ)


じゃないと、芋子だのブスだのポチだの、言われ損じゃない!



布団の上に膝立ちをし、振り返りもせずに素っ気ない態度で足を進める彼の手を掴んだ。


「言ったって認めるまで、離さないんだか…………らっ?!」


しかし、急に振り向いたマサトに腕を払われ、逆に布団へ押し倒される。


「きゃっ、」


「……なぁ、煽ってんの?」


見上げれば、心の中を掻きむしられるような激しい焦燥を瞳に宿す、獣がいた。

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