Beast Love
首筋に吐息がかかり、ゾクゾクとした悪寒が全身を駆け巡る。


「俺だって、いっぱいいっぱいなんだよ」

「っ、……あ、」


耳たぶを甘噛みされ、胸も、頭も、あつくなる。



「ちょっと、……からかって、ごめんってば……」

上半身にいるマサトを退けようとするも、ビクともしない。



温かく繊細な唇がどこかに触れるたびに、胸の奥の方が腫れものに触るように、そわそわとする。


‪興奮と緊張で、まぶたを閉じても瞳が景色を見ているみたいだ。‬


「どうにもお前といると俺は、後先のこと考えられない馬鹿になるらしい……」


その台詞を最後に、彼は私からゆっくりと離れていく。



「……これに懲りたら、あんまり俺をからかうなよ。じゃぁな、おやすみポチ公」


怒っているでもなく、笑っているでもなく。


ロボットがプログラムどおり話してるみたいに、感情がこもっていない声で淡々と忠告して、マサトは部屋を出て行ってしまった。



私はと言うと、突然のことに脳内で処理が追いつかず。


(なななっ、なに、今の…………?!)


破裂しそうな心臓とともにただただ、夜を過ごすしかなかったのであった……。
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