Beast Love
「礼なんて別にいい。……まっ、ノゾミが男たちに襲われた理由は、スマホに送った通りだ。城之内ってやつがすべての諸悪ってとこだな」


詮索される前に手短に済ませようと、そう答えれば案外すんなりと引き下がったかに思えたが…………。


「そうか。なら、お前はどうするつもりだ?」



嗚呼、そうだった。


トオルは人の表情をよく観察して、相手の感情を読み取ってしまえるんだったっけか。


つくづく、面倒臭い野郎だ。


また投げかける質問の鋭いこと。



「さぁ? これ以上、首を突っ込むつもりは……」



……きっと、このインテリ野郎は分かって質問している。


俺が城之内を呼び出して、退学覚悟でボコボコに痛めつけようとしていることを……。




「はぐらかすなよ。その城之内ってやつの顔を、殴り込みに行くつもりだろ? 分かるさそのくらい」


嗚呼、やっぱりな。


本当に面倒な男だ。


「勝手に人の頭の中、覗くなよ。えっち」


腕を胸の前でクロスし、唇を尖らせて嫌味を言うと、眉間にシワを寄せられる。

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