Beast Love
どうして、大切なものをふたつ同時に、守ることはできないのだろう。
天音さんのために殴り込みに行こうとしている、マサトだって……不器用な俺にとって、初めて出来た友だちだ。
『お前さぁ、エリートなんだろ? 良いよなぁ、親が金持ちで勉強もできて、イケメンでよ。ちょっとくらい、俺たちに小遣い分けてくれや』
高1の時、スカしているらしい俺が気にくわない上級生たちに絡まれて、喧嘩沙汰になりそうだった時。
あいつは、俺のことを助けてくれた。
『喧嘩か? 俺も混ぜてくれよ、数少ない方にさぁ』、なんてキザに笑いながら。
初めて出来た、友だちだった。
だからこそ、俺はマサトをよく見ていた。
そして、すぐに気付いてしまった。
マサトと天音さんが、惹かれあっていることを。