Beast Love
「私は、……城之内くんに命じられて、ノゾミを傷付けた……っ。でも、でも……ずっと、ノゾミを振り払ったことを、後悔した……」
泣きじゃくりながら懺悔する女子生徒が、自分可愛さに嘘を言っているようには見えなかった。
「ああ、アンタはその日、ポチと一緒に立ち向かうべきだったんだ、城之内に。ポチと、自分自身を信じてな」
俺がそう言うと、女子生徒は小さく頭を振りかぶる。
「自分自身を信じる、強さ……」
「あのな、ダッセェことでも自分信じて貫き通せば、いつの間にか、カッケーことになるんだよ。んで、強さなんて後からついてくるもんなんだよ」
横でヨウが腕を組みながら、ウンウンと頷いている。
「なんやろなぁ、マサトの言葉は語彙力が死んどるけど、妙に説得力あるわ」
「おい。ディスってんなら、はっ倒すぞ」
俺の腕を肩に回して身体を支えてくれているアキラが、女子生徒に問いかける。
「その真実を、天音さんに伝えてあげたらどう? 今から会いに行ってでもさ?」
「えっ、でも……今さら……」
渋る女子生徒の言葉を、今度はトオルが遮る。
「いや、その必要はないぞ」
そして茜さす河川敷を、指差した。
「天音さんはそこにいて、全部聞いてるから」