Beast Love
***



カレンの告白を聞いて、私の頭は真っ白になっていた。


「中庭で助けに来てくれたノゾミに罵声を浴びせたあの日、……実は、城之内くんに指示されていたの……っ」



あの行動は、彼女の本心ではなかったのか……。


「『今から助けに来る天音を罵倒しろ、しなければ、俺たちのイジメのターゲットは天音に変えるからな。お前の倍、イジメてやるから覚悟しろ』、って……」


私は、なにも知らなかった。


「でも、でも……ずっと、ノゾミを振り払ったことを、後悔した……」


カレンが苦しんだうえで私を振り払ったことも、今だにそのことで苦しみ続けていたことも。


トオルくんが私の存在を明かし、霹靂を超えるチャンスを与えられた足は一歩、また一歩と前に進む。


巨大な支柱の影から姿を現せば、私がここにいることを知らなかったマサトとカレン、城之内が瞳を見開く。


「の、ノゾミ……。今の話、聞いてたの……?」


1番驚いていたのは、涙を流して懺悔していたカレンだった。


「……うん、聞いてた」


それ以上の言葉が出てこず、空気が喉でつっかえる。


やっとの思いで絞り出した自分の声は、ふたりの過去を照りつける夕焼けに負けそうなほどにか細く、震えていた。



「……中庭で拒絶されたあと、何もかもを恐れて手を取り合うことをしなかったのは、私の弱さが原因だよ。ごめん、ちゃんと……カレンと話し合っていれば良かった……」


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