Beast Love
「天音ちゃんはお人好しすぎるで〜」っと、呆れたように白虎町くんが笑った。


玄武くんもトオルくんも、……マサトも、みんな泥塗れの顔で苦笑している。


自分でも、そう思う。


あれだけ酷いことをされて、裏切られて……傷付いたのに。


また友情を深めて手を取り合うだなんて、夢物語かもしれないって。


それでも、カレンと仲直りがしたいという自分の気持ちに、嘘はつけなかった。



「私と仲直り……してくれるかな？ カレン、」



泣き崩れた相手におずおずと差し出した手は、宙を彷徨うことなく。



「それは、コッチの台詞だよ」


カレンは泣きじゃくりながら、しっかりとその手を握り返してくれた。


今まで遠ざかっていた体温を改めて感じた瞬間、私の瞳から溢れた雫が、ぽろりと地面に落ちる。


ぽろり、ぽろりと規則正しく落ちていく雫は、ふたりが後悔した日々の数だけ、流れていった。


「ありがとう、カレン……」

「こちらこそ、ありがとうノゾミ……。今まで、ごめんね……っ」



夕焼けに照らされた少女たちのシルエットは、その友情に相応しい輝きを放ち、はっきりと美しく鮮明に河川敷の水面に焼きついていた。


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