Beast Love
「いっちゃーん! 会いたかったよぉ」


感動的な再会を演出しようと抱きつこうとすれば、顔をグイッとあらぬ方向に押しやられ、「グエッ」っと変な声が出る。


「やー、ノゾミんの新しいお友だちって、彼?」

いっちゃんの興味は、初めましてのハルカくんに向けられていた。


「あ、初めましてっ。僕の名前は、小羊 遥(こひつじ はるか)。よろしくね」


キャピーッ☆とお星様が出るウィンクをかましたハルカくんを見て、いっちゃんはどうやら彼が少し変わっていることを察した様子だ。


新幹線から降りてきたお客さんが途切れ、駅前の人混みが疎らになる。


「え、ハルカくんって、もしかしてもしかしなくても、女子の中に混じっても問題なく楽しめちゃう系の人ですか?」

回りくどいなぁ、っとツッコミを入れそうになるも、それよりも早くハルカくんが即答する。



「うん! あ、でもテンションはこんな感じだけど、恋愛対象は女の子だから安心してー? 変わってるってよく言われるんだけどね、可愛い物が好きなだけなのっ。うふっ」
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