Beast Love
「で、男を連れてないお前が俺にわざわざ声掛けるってことは、そういうことなんだろ?」
付き合っている男が途切れた時にだけ、肌を重ねる関係。
コイツとはそういう淡白な関係だ。
「うふっ。珍しいね、最近ご無沙汰だったマサトくんから聞いてくるなんて。つまりは、お誘いしてOKってことなのかな? 私は今晩でもいいよっ」
……どうして俺は、アンナに質問した?
「いや、悪い。そういうつもりで聞いたんじゃ……」
また不貞腐れていたあの頃に、戻るのか?
むしろ、俺は……戻りたいのか…………?
「花火大会行かねーのかよ。友だち、待ってるぞ?」
花火が上がる直前のアナウンスが、頭上から降り落ちる。
|《ただいまより、桜島花火大会を、開催致します────》
「あー、いいよ別に。あれ、友だちじゃなくて従兄弟だし。あの子はあの子で、現地で友だちと合流するみたいだからさ」
アンナの瞳には、欲に塗れた青い炎が燻っていた。
「…………だから、ねぇ。バイト終わるまで待ってるからさ。久しぶりに、シよ?」