Beast Love
やっと始まる花火に、近くにいた子どもが高揚し、辺りを走り回る。


「わーい! 始まる始まる!」


そして私のお尻に、思い切りぶつかっていく。


「わっ?!」


思わぬ衝撃に耐え切れず、前のめりになり、前方に立っている見物人に突っ込みそうになってしまう身体。


が、間一髪。


とっさに私の腕を引いたトオルくんが、助けてくれた。


「危ねぇー、」


「あ、ありがとう。トオルくん」


緊張から一気に解放された体制を立て直し、ペコリと視線を下げると。


頭にポンポンッと、軽やかなリズムを刻む手のひらが降りてきた。


視線を戻すと、照れ臭そうに笑うトオルくんが、そこにいて。



「あのさ、さっきの続きなんだけど……何度も言ってるけど、俺が優しくするのは天音さんだけだよ」



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