Beast Love
ドウン、と背骨の芯まで響く爆音が空に広がる。



「あ、花火────」



歓声が上がり、煌めく花火が夜空に咲くと同時に髪に手を回され、強引に口づけが交わされる。


「と、トオルく……ん」


「大丈夫、誰も俺たちなんて見てない。みんな花火を見てる」

ひとつ、ふたつ。


熱鬧が天にまで湧き上がる中、花火は流星群ほどのさやけさに光ってはいなくなる。



「天音さん、桜島の花火を見ながら今日、俺とここでキスしたことを……忘れないで欲しい」



知的な彼の顔が、青や赤、金色に光っては陰影を取り戻す。


「俺が君のことを本気で愛してるってこと、忘れないで欲しい」


傘を開いたような色とりどりの花が、忙しく暗黒に瞬いては消えていく。


光と闇を彷徨い移ろいゆく人の心を、模すかのように。

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