Beast Love
***


おふくろが働きに出ている誰もいない家にアンナを連れ込み、部屋に入ると同時に浴衣の裾をたくし上げる。


久しぶりの人肌に、感情が高ぶる。



首に歯を添えて甘噛みをすれば、白い肌が震えた。



「もー、ガッつき過ぎだよぉ」


呆れたような吐息が顔にかかるが、有無を言わさずベッドに押し倒す。




窓の向こう側から爆音につづく爆音が、空を裂く。


絶え間なく、嫌味なくらいに。



(あの花火の下でポチは、どんな顔をしてトオルといるんだ?)





勢いよく咲いた破裂音に重なる破裂音、滅茶滅茶な光の狂射、瞬く色の乱舞。



今、桜島町の空は、地上は、あらゆる色に明滅している。


(あいつらには、この先も…………未来がある。俺は、俺には……)




空と地が、俺の体と心が、気が狂ったような瞬間が起こった。

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