Beast Love
リレーが終わり、ついに私たちに出番が回ってきた。
互いに足を差し出し、私の右足とマサトの左足を、配られた紐で固く縛る。
ぎっちりと結ばれた紐が、ふたりの距離をグッと近くさせる。
マサトの匂いが私の鼓動を鷲掴みにして、緊張で体が金縛りのように痺れた。
「肩に腕回せるか?」
「回せるよ。そこまで腕短くありませんからっ」
とは言ったものの、推定身長180センチはある巨漢の肩に腕を回すのは中々にキツイし肩が痛い。
「……実はちょい厳しい感じ?」
「うるさいなっ! 大丈夫だし!」
半笑いで小馬鹿にしてくる男に頬を膨らませながら息を合わし、スタートラインに移動する。
(ぬぅぅおおお! 距離が近い近い近い! 体も密着してるから動きづらい!! 暑い! ……っていうか、マサトの体熱過ぎない?!)
待機場所でも顔色良くなかったし、これ、もしかして、……
《それでは位置について、よーい、────》
青空に、パァンッと乾いた空砲が放たれる。
《スタート!! みなさん、頑張ってください!》