Beast Love
──……同時刻、校舎近くの日陰では白虎町 陽が青龍院 透を呼び出していた。



「なんだよ、ヨウ。急に呼び出したりして。俺、二人三脚を頑張ってる天音さんを応援しに行きたいんだけど」


向かい合う友人の表情が、日光が遠いせいか、一層青みを帯びて沈鬱に見える。


「俺がトオルを呼び出したんは、その天音ちゃんのことや」


まばたかない強い目が、青龍院を射抜く。


「トオルもさ、マサトの余命は知っとるんやろ? なら、ええ加減にマサトの為にも天音ちゃんを手放したってくれ」


ピクリ、と反応を見せるも青龍院は努めて冷たい態度をとった。


「は? 意味が分からない。俺と天音さんが別れることで、アイツの命が長引くっていうのか?」


「せや、その通りや。トオルはさ、天音ちゃんがマサトに惹かれてるのを知っときながら、告白したんやろ? ほんならっ、」


「……俺は天音さんと別れる気なんて、さらさらないよ」


もうこの話は終わりだとでもいうかのように、呼び出された本人は日陰を出始めた。


「おい、ちょい待てやトオル、」


懇願も虚しく遮られ、白虎町は俯き拳を震わせる。
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