Beast Love
「だ、大丈夫?!」


「悪い、ちょっとふらついた」


そう言えば、最近マサトは夏休みが明けてから学校休みがちだし、今日も顔色だってあまり良くなかった。


「ねぇ、あなた、もしかして……、体調が……」


すぐ側を、熱気が通り過ぎていく。


対抗する白組の生徒たちが、私たちを追い抜いたのだ。


「……ねぇ、無理してまでわざわざ参加してくれたのは、どうして?」



「………………」


分かっていたけど、その問いに答えようとはしてくれない。



…………だったら。



「おい、なにする気だ」


マサトの腕を自分の肩に回し、両腿に気合いを入れて立ち上がる。


(……お、重い……)



戸惑う彼に、精一杯の願いを口にする。



「なにがあったのかは、……知らないけどね、……」


一歩一歩、前をしっかり見て。


私を助けてくれた人の分まで、足を動かし進んでいく。


「……辛い時は私にだって、少しくらい…………支えさせてよ!」


……この時のマサトの顔はどんな顔をしていたかなんてよく覚えていない。


正直、真横を見ている余裕なんて無かった。


数メートル先をいく白組を追いかけなきゃいけなかったし。


……でも、なんでだろう。


マサトが、笑った気がしたんだ。
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