Beast Love
偽りの善を愛する者
「ノゾミちゃん、おめでと〜!」
二人三脚を終えて退場門から出ると、すぐ近くで私を待っていてくれたハルカくんが飛びついてきた。
「ハルカくーん、ありがとう! なんとか勝てたよ!」
退場門の付近に、もうマサトの姿は無かった。
(……相変わらず、風のような速さでいなくなるんだから……)
ふぅ、っと肩を落としていると。
「ねぇ、天音さん……だよね?」
ポニーテール姿の女子生徒が声を掛けてきた。
「あなたは……?」
初対面の女子生徒に首を傾げると、有無を言わさずサッと手を繋がれる。
「え、ちょっと……、」
戸惑う私に、女子生徒は意味深に耳打ちをしてくる。
「……彼氏さんの青龍院くんが、駐輪場で天音さんを呼んでたよ」
「え、トオルくんが?」