Beast Love
「へぇー、そんなサービスもあるんだぁ。良いなぁ、ふたりは桜島高校で。あ、そうだノゾミん。昨日言ってた、意地悪な不良くんの話し聞かせてよっ」

「あ、それそれ! ちょっと聞いてよー。ソイツ本当にヒドくってさぁ、」


ズイッと身を乗り出してくる親友に対し、昨日起こった理不尽な内容を説明しようとした、その時だった。


入り口の扉についている金のベルが、客の来訪を告げる。


「よーっす、ノボルさん」
「ノボルさん、おはよーさんっ」


低血圧か!っと突っ込みたくなるような気怠く低い声と、対極的なテンションの高い声が聞こえてきた。


私はその声に、確かに聞き覚えがあった。


(まさか、今入って来た人たちって……)


壁と植木鉢の隙間から、忍者の如く恐る恐る客の姿を確認する。


宇佐美さんが、片手を上げて近寄るのが見えた。


その奥に、若い男性ふたりが立っている。


「よぉ、マサトにヨウじゃないか。朝早くから来てくれたのか。ありがとな。ま、好きな席に座りなよ」
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