Beast Love
「な、なんや……なんで笑とんや、……怖いわ……」
引き気味のヨウが、眉をきゅーっと顰める。
「いや、実はさ……」
俺は先ほどあったことを、ヨウに説明した。
栗木さんにハメられたこと、天音さんと別れたことを。
「……んっ? 栗木 杏奈って誰かから聞いたことある名前やなぁ。誰やったっけ……」
ヨウが眉間にシワを寄せてブツブツ何かを呟いていると、物陰に隠れていたアキラが「マジで別れたのかトオル!」っと飛び出して来た。
大方、俺と気まずくなったヨウに相談されて、素直に俺に謝りに行けとアドバイスしたのは彼なのだろう。
「トオル、天音さんと別れたんだな……」
アキラはヨウみたいに、マサトの味方!って訳でもなく中立な立場でいてくれるから、まぁちゃんと慰めてくれるところは優しいなと思う。
「あー、もうマジついてないわ。本気で好きだったのになぁ……」
「まぁ、今日は体育祭が終わったらパァーッとカラオケにでも行こうや! 慰めたるわぁ、トオルぅ」
「……ヨウがテンション高いのがまた腹立つけど、まぁいいよ。カラオケ行くか!」
たとえひとつの恋が、終わりを迎えたとしても。
俺たちの友情に、変わりはなさそうだ。