Beast Love
「……おばあちゃん、ただいま〜」
学校が終わってから無意識のうちに家路に着くなんて、日常茶飯事で。
(……あれ、私、いつの間に帰ってきたんだろ……)
トオルくんとも、白虎町くんとも、玄武くんとも……学校内で会話を交えることはなくなった。
原因は、私たちの中心にいたマサトが、いないから。
彼らと出会う前に、戻っただけなのに。
体育祭が終わってから、世界から色が失われていくような感覚に陥っている。
夕闇に染まる玄関にぼんやりと立ち尽くしていると、いつまで経ってもリビングに姿を現さない私を心配したおばあちゃんが様子を見に来てくれた。
「ノゾミ、おかえりぃ。どうしたの、そんなところで立ち止まって。早く上がっておいで」
「あ、うん、……ごめんなさい」
おばあちゃんは小さなため息とともにニコリと笑い、「晩ごはん、できとるから早よおいでんさい」っと、深く聞いてこようとはしなかった。
私は大人しく丸い背中について行く。