Beast Love
翌日、土曜日のため昼前まで寝ていた私はボサボサの髪を放置したまま、山姥のような目つきでリビングに向かう。
テレビで新喜劇を鑑賞していたおばあちゃんが、ゆったりとした動きで起きてきた孫娘を確認する。
「ノゾミちゃん。お小遣いあげるから、それで好きなものでも食べるなり買うなりしてきんさい」
「えっ、お小遣い?」
テーブルの上を見ると、5000円札が置かれていた。
「最近、元気がなかったからねぇ。おばあちゃんからの、プレゼントさね。おばあちゃんはもうお昼食べたからね、ノゾミの好きなように使いんさい」
女子高生にとって5000円は、有難い大金である。
寝起きでボーッと惚けていた感覚が、現金を見た途端にスッキリとしだす。
「ああん! もうっ、おばあちゃん! 大好き! 心配かけてごめんね、ありがとう……っ」
思いもよらない5000円をゲットした私は、ひとまず朝昼兼用のご飯を買いにスーパーに行くことにした。