Beast Love


自転車を漕いでいつものスーパーに向かい、自動ドアを潜り抜けて財布と睨めっこする。


(……ついついスーパーに来ちゃったけど、ここで5000円を使おうと思っても中々使いきれるもんじゃないよね……)


積み上げられた野菜たちがプチピラミッド作る、野菜コーナーを歩いていく。


……おばあちゃん、いつもこんなに重たい野菜を、私のご飯を作るために買って、ひとりで家まで持って帰ってくれてるのかぁ……。


貰った5000円で、野菜を買って帰ってあげようかな……。


そんなことを考えながらキャベツに手を伸ばすと、横から伸びてきた色白の手とぶつかってしまった。


「あ、ごめんなさい!」

「こっちこそごめんね……って、あら? ノゾミちゃんじゃない」


いつの日か聞いたことのある声に顔を上げると、そこには……。


「あ、マサトのお母さんの、……カナエさん!」

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