Beast Love


「奇遇ね、こんなところで会うなんて」

目下に薄黒い隈のできたその顔は、鈍い鉛色をしていて。


久しぶりに再会したカナエさんは、とても……やつれているように見えた。


「あの、……会っていきなりこんなことを言うのもあれなんですが、……大丈夫ですか?」


「んー、あはは。いろいろと顔に出ちゃってる? 実はさっき、バカ息子とケンカしちゃってね〜……」


てへっ、っと髪をかきあげる仕草をするカナエさんは、事前に子持ちだと聞いていないとバツイチということが見抜けないほどに、若い。


「あー、そうだ! 今からうちに昼ご飯食べにおいでよ。私、ノゾミちゃんと一緒にご飯食べて癒されたいわぁ〜」


不登校のマサトのことを、何か知れるかもしれない。


そんな淡い期待を胸に、私は間を空けずに返事をする。


「……はい、いいですよ。あ、じゃぁ私もひとつお願いしていいですか……?」


「なぁに?」

「あのですね、…………」
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