Beast Love
私はカナエさんに、買い物の時に1番持って帰るのが大変な野菜を聞き出し、おばあちゃんのために購入した。
「そっかぁ。一緒に暮らす祖母のために買い物をしてあげるなんて、優しいね。ノゾミちゃんは」
家に着いて早速、台所でフライパンを揺らしながらカナエさんは「いい子だなぁ」っと何度も頷いている。
キョロキョロと辺りを見回すも、家の中にマサトの気配はない。
(……さっき喧嘩したって言ってたし、家を出て行ってるのかな……)
そうこうしているうちに、お昼ご飯が完成したようだ。
「はい、できたよ〜。鳳凰家スペシャル!デミグラスソースのオムライス〜」
ホカホカと白い湯気をたてる、トロトロの半熟タマゴと濃厚なデミグラスソースの比例が素晴らしい。
「美味しそ〜!」
期待に胸を膨らませる私のことを、カナエさんはまるで自分の娘のように向かいの席から見守ってくれていた。
「さっ、冷めないうちに食べて」
「いただきまーすっ」
スプーンで卵とケチャップライス、デミグラスソースの三層を掬い上げ、ハフハフと頬張る。
「おいすぃ〜〜」
とろけそうな旨味を感じている私に、カナエさんはあることを尋ねてきた。
「……ねぇ、ノゾミちゃん。最近のマサトって、学校でどんな感じかな?」