Beast Love
やがて席の前に来たイケメンが私達に気付き、白虎町くんが親しげに片手を上げる。


「あ、小羊くんにノゾミちゃんと初めましての女の子やー。……ん、ノゾミちゃん? それ、何してんの? そんな顎シャクれとったっけ?」

「わたひは、ノゾミと言う名前ではありまひぇん」

マサトが呆れ顔で頭を小突いてきた。


「バカだろお前。顎そんなにシャクらせて、何してんだよ」

いっちゃんがブファっと吹き出し、ハルカくんも釣られて笑い出した。

「変装」

「あ?」

「変装、のつもり」

「アホだろ」

ジャックナイフばりの毒舌でバサバサとお豆腐メンタルを切り崩される。


「だって、またイジられると思ったんだもん! 私のプレパラート並みのメンタルは昨日でもう既にボロボロなの、分かります?」

マサトは初めて見せるような優し気な笑みを浮かべた。

「分かった、分かった。悪かったな」

そして頭をポンポンと撫でながら、唇を耳元に近付けて他の人には聞こえないような声量で、妖艶に囁く。


「……そんだけ俺の前でフザケれるっつーことは、まだまだ調教し足りないみたいだな? ポチ公」


心臓が、ドキリと大きく跳ね上がった。
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