Beast Love
「ねぇ、鳳凰……くんさ、」



バカみたいに駄々をこねてでも、彼をどこにも行かせたくなかった。


……だって、心の奥の奥に焼き付いて離れないの。




あなたに生きてほしいと願う想いが。



カナエさんの、悔し涙が。




「お母さんのこと、泣かしちゃダメだよ……っ」



自分がなにをすべきかなんて、分からない。



……分からないけれど、せめて母から息子への想いを伝えて、彼を日の当たらない場所から引っ張りだすだけでも。


今の私には、充分な役割なのかなって思うから。


「私のことは、ウザがってもいいから……」



悲しくないのに涙が溢れるのは、なぜ?


「また、学校においでよ。みんな、あなたがいないと調子狂っちゃうんだよ……」

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