Beast Love
「なっ、何言って……っ!」



甘美な囁きにゾワゾワッと鳥肌が立ち、思わずバッと彼との距離を取る。


当の本人は、「おっ、ラッキー。席が空いた」なんて言いながら、隣に乗り込んでくる。


「俺も俺も〜」

それに便乗して、白虎町くんもそれほど広くはないソファにマサトを押し込みながら、乗り込んできた。


カフェの小さなソファに、私と暴君、糸目男子の順でギュウギュウに詰まった相席。

お尻密着してるし、マサトの腕は当たってるし……。



「あのー、狭いし苦しいんだけど」

「は? 嬉しいの間違いだろ?」

正直に感想を述べようものなら、真横から歪曲した答えが返ってきた。

ニヤケた顔のそいつに毛を逆立てた猫の如く、キーっ!っと苛立ちを感じれば、そんなやり取りを見ていたいっちゃんが、ケラケラと笑う。


「ノゾミん。鳳凰くんってノゾミんが話してた内容よりも、面白い人たちなんだね」


「え、なになに〜? 天音ちゃんったらまた俺たちのこと話しとったん〜? ホント好きやねぇ。俺らのこと」


白虎町くんにもそう茶化され、捻じ曲がった解釈ばかりの人たちに囲まれた私は、ガックリと項垂れるのであった。
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