Beast Love
おふくろは「ノゾミちゃんって、空みたいにコロコロ表情変わるし、泣いたり笑ったり忙しい子だね」っと言って笑っていた。


「4月に会ったときは、表情死んどったけどなぁ〜」
「確かに。今みたいに天真爛漫な雰囲気では無かったよな。イジメの件もあったし」
「いや、4月からいつ見ても可愛かったよ天音さんは」


それぞれ好き勝手に言いまくっているが、おふくろがひとりひとりの髪をぐしゃぐしゃと撫で回す。


「あんた達が、ノゾミちゃんを変えちゃったんだよ。今のような、素敵な女性にさっ」


最後に、俺の額にビシッと人差し指を突き立てる。



「あんたも、そのひとりだよ? だから、あんなにいい子を悲しませないためにも……しっかり生きなさい」


「…………まぁ、努力はするよ」


どれほど儚い希望といえども、あいつの言葉と声に支えられている自分に気付いて、がらにもなく悔しくなった。
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