Beast Love
予想通り、目の前の長身イケメンは眉毛をハの字に下げた。
「いや、まぁ、俺では……ないんだけど」
玄武くんも嘘を吐けないお人好しなんだなぁと苦笑いする。
「まぁ、誰がチケットを買ったのかは、察してくれ」
その口ぶりから推測するに、このチケットはおそらく…………。
─『天音さん、好きだよ』─
トオルくんが、買ってくれたものなのだろう。
(……マサトを助けれるかどうかの最後の展開なのに、……トオルくんにとっても大切な友人を助けれるかどうかの状況なのに。どうしてこのタイミングで、私をデートに誘うの?)
最近の私の行動を見ているならば、トオルくんと復縁する道なんて考えないことは、賢い彼ならば理解してくれるはずなのに。
チケットを凝視して渡された真意を考えていると、申し訳なさそうに玄武くんが頭を下げる。
「頼む、これは天音さんのためでもあるから……。明日、カレイドスコープに来てくれ」
あまり話をしない玄武くんがここまで懇願すると言うことは、なにか理由があるのだろう。
「……分かった」
納得はいかないが、私は静かに頷いた。