Beast Love
呼び出された土曜日、当日。



玄武くんから手渡された、『dusk pass』という17時以降に入場すると安くなるチケットを利用し、カレイドスコープに入場する。


「うぅ〜、冷えてきたなぁ」


この頃、日が落ちると急に肌寒くなる。


入場ゲート付近では、お土産袋を持った人たちでごった返していた。


「えーっと、……」


パンフレットを片手に、私は目的の場所を探す。


カレイドスコープは、六角形をした6つのゾーンがあって、上から見ると花びらのような形で建築されている。


「待ち合わせ場所は、確か…………」


”生物と水と青”がテーマの、触感で楽しむ『サファイアゾーン』。



パンフレットで水色に塗り潰されているその場所へ、トオルくんは”来てくれないか”と今日、メッセージを送ってきた。


「……行くしか、ないよね」


みんなでワイワイとはしゃいでいた前回とは違い、ひとりで黙々と人群れの間を縫って進んでいく。
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