Beast Love
(……ここでマサトを探していても、見つかりっこないよね)


至急、踊り場を見渡すことのできる飲食店やテラス席が集まる、2階へと急ぐ。


しかしタイミング悪く、万華鏡を映し出すために辺り一帯の街灯や飲食店の電気が、消されてしまった。


(うわっ?! く、暗い!)




踊り場からは僅かな悲鳴と高揚した声が上がっていた。


(どうしよう、このままじゃ、……っ)



停電のような闇の中、階段を駆け上がるとさすがに息が切れて苦しい。


完全に、酸欠だった。


(いやだ、諦めたくないっ)


フェンスの網目を掴みながら、肩で大きく酸素を吸っていると。
< 500 / 548 >

この作品をシェア

pagetop