Beast Love
「ま、マサト?! ご、ごめん、大丈夫?」


起き上がって体勢を直そうとするも、彼は肩の骨も砕けそうなほど私を強く抱きしめたまま、離さない。


「……なぁ、そこまで俺に惚れてんのならさ、約束しろよ?」


「な、なにを?」


「俺の命を助けてさ、俺にお前を、守らせろ」


彼の胸元からふわりと漂うのは、タバコの匂いなんかじゃなくて……、私と同じ香水の香りで。



そのことに強い安心感を覚えて、沸きあがる喜びに身を任せた。


「うん、約束する」


ゆるゆると伸ばした腕を、少し痩せた背中に絡める。



「……俺、生きてぇよ、」


「うん、」


「こんなに大事なもんが腕の中にあるのに、死んでたまるかよ……」


マサトの胸に頬が触れれば、パーカー越しに尊いぬくもりを感じる。


「うん、生きて。これからも、この先もずっとずっと」
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