Beast Love



「笹原、……りがとな」

「ああーん? 声がちいせーなぁー? パードゥン?」


「くそっ、調子乗りやがって! ありがとうなって言ったんだよ!」


ヤケクソ気味に礼を言えば、俺の声に反応した奴らがワッと俺を取り囲んできた。



「マサト、泣いてんのか〜?」
「貸してやろうか、ハンカチ」
「おーい、みんなでマサトの泣き顔、SNSで晒してやろうぜ〜」

真面目に募金活動をしていた好青年とは打って変わってふざけ出す野郎どもに、殺意が芽生える。


「お前らな……、」


車椅子に座っていて動けないことをいいことに、髪やら頬を好きにいじくり回されていると。


「あ、マサト! 来てくれたんだね」


むさ苦しい面子の隙間から、ノゾミが顔を覗かせる。
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