Beast Love
***


募金活動を終えた宇佐美教員は、双子の兄が経営している喫茶店に足を運んでいた。


カウンターでブラックコーヒーを啜りながら、ふふっと笑みをこぼす。


「兄さんも、馬鹿ねぇ。売り上げのほとんどを寄付するだなんて。お店が潰れたらどうするのよ」


どうやら兄の昇は鳳凰 正人のために、かなりの金額を寄付したらしい。


「それを言うなら、お前もだろう? カケル。大方、貯金のほとんどを寄付したんだろ」

「うふふ、バレてたのか〜」



宇佐美兄弟は鳳凰 正人の病気が発覚した際、母親に支援を申し出た。


だが、母親はそれを受け取らなかったのだ。


「誠司のことで負い目を感じる必要はない」、っと。


「あなた達はあなた達の人生を歩むために、そのお金は取っとくべきよ」、と。
< 522 / 548 >

この作品をシェア

pagetop