Beast Love
キャリーケースを運ぶのを手伝いながら、海を挟んでいた時にもメッセージでしつこく聞いていた質問を、彼に投げかける。
「ねぇねぇ、私の好きなところってどこ?」
何回も満足する答えを貰っても、届かない距離に疑心暗鬼になっていた。
目の前にいるあなたから、直接……その声で甘い言葉を聞きたい。
そう思ってしまうのは、ワガママだろうか。
「ああ? またその質問かよ」
背中に荷物を抱えて面倒くさそうにしながらも、律儀に質問に答えてくれた。
「遠くの文字見る時に細めたら潰れるつぶらな瞳と、ムラムラする髪の香りと、脱いだら意外とデカイおっぱ……」
答えてくれた……けど、なんだか不満。
「あー、分かった分かった! ちょいちょいディスってるのとエロ視点が入ってるのがまた腹立つけど、それって外見ばっかりじゃん! 中身は?! 性格はどう思ってるのよ」
(もう! いつだってそうやって、憎まれ口を叩いてくるんだから)
……そう、思っていると。