Beast Love
「アキラじゃねぇか。大方、ヨウに呼び出し食らったのか?」
「まぁ、そんなとこだよ」


グリーンのシャツに、白のスキニーというこれまた春らしい爽やかかつシンプルな装いで苦笑いする、玄武くん。


さすがは元バスケ部のエース。

無駄な筋肉のついていない、スタイリッシュな8頭身である。


とてもじゃないが、顧問の先生を殴って退部だなんだって物騒な噂をされるような人には見えないけどなぁ。


白虎町くんはおもむろに玄武くんの腕をガシッと掴み、徐々に引きずり出した。


「よっしゃー、じゃぁアキラ、行くで! 可愛い女の子を捕まえに!」

「え、俺、転校生の親睦会って聞いたんだけ……」

「細かいことは気にしなぁーいっ」



捲し立てる友人に腕を引かれ、合流して早々に玄武くんは人混みの中にフェードアウトして行った。




……って言うか、これはまさかの。


ちらっと横にいる、威圧感と鋭い眼光の持ち主を見上げる。

「私はこの野蛮人と、ふたりきり?!」
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