Beast Love
お子様大戦争
──…………一方そのころ、白虎町と玄武は。
「ヨウさ、わざとマサトを転校生と二人きりにしただろ」
「あ、ばれた?」
パーク内の大通りを行きかう女の子を物色していた白虎町が、目を輝かせてアースカラーのカーディガンを羽織る玄武を見上げた。
「だってさ、その方が面白いやん? 俺、普段は余裕って顔してるマサトが不機嫌になる瞬間、チョー好き」
「いい性格してるよ。後でマサトにボコボコにされても知らないぞ」
「えーっ! いやいや、その時はアキラが庇ってくれるやろ?」
「冗談キツイ。マサトに喜んでボコられる奴が、どこにいるんだよ」
苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる玄武に、白虎町は笑った。
「でもさ、ふたりっきりにしたのは、あの子がマサトの希望になってくれたらええなって思ったんも、事実やから」
その言葉に玄武は目じりを下げ、通りから香るポップコーンやチュロスの匂いの混ざった、小さな息を吐く。
「そうなればいいけどな。まぁ、その前にマサトが切れていなきゃいいが」