Beast Love
数分後。


「おえぇぇえ!! 気分悪っ」


マサトの運転する、不良特有な荒々しいハンドル捌きで道を爆走するゴーカートの助手席に乗っていた私は、激しい嘔気に襲われていた。


「やべー。俺、免許一発で取れる自信があるわ」


何処から湧いてくるんだその自信は。


明らか助手席に座る私を振り落とそうと、右に左にハンドル切って別の意味で楽しんでたのが、バレバレなんですが。


「いやいやいや、今日のゴーカート見てたら 100 %人をひき殺す未来しか想像できないんですけど」


「さっ、次行こうぜ」

コイツ、人の話を聞いちゃいない。


(ここいらで、今後学校でイジられないようにこの人をぎゃふんと言わせておきたいんだけど……)


そんな邪念に捉われ、純粋な気持ちで遊ぶ気ゼロの JK が見つけたのは。


「ねぇ、あの建物入ろうよ! 『トイボックス』だって」


おもちゃ箱を模した建物だった。


興味を示したマサトと共に足を進め、鞄からパンフレットを取り出す。


「えーっとなになに、パンフレットには《子供用と大人用に分かれたボールプールが用意された、室内アトラクション》だって書いてある」


「へぇ。ボールプールってあれだろ? 水槽みたいな容器の中に、いろんなボールが敷き詰められている子供向けの遊具だろ?」


「えーっと、《ボールの中に”ハッピーくん”の顔が描かれたボールが混じっており、そのハッピーボールを見つけた参加者には記念品が贈呈される、人気の宝探しゲームになっている。》だって」



……っという事は、つまり?
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