Beast Love
左右にあるスピーカーから、ハイテンションなお姉さんのアニメ声風のナレーションが流れる。


《それでは、皆さま! 今からハッピーくんのお宝探し、スタートです!》
《途中、ハッピーくんのライバル、アンハッピーくんがスクリーンに出現しますが、皆さんの力を合わせてやっつけてくださいねぇーっ!》
《アンハッピーくんからの攻撃を受けて体力が無くなったら、その時点でお宝探しは終了でぇす》
《ペアで協力して、頑張ってください! では、行ってらっしゃーいっ》


バシュウッと白い煙が吹き、最終ゲートが開く。

それぞれ1組ずつ、畳3帖程の大きさをした星型をした入れ物に敷き詰められたボール達の中に飛び込んだ。


「わぁ、凄い!」

隣のお客さんからも、私と同等の気持ちの昂ぶった歓声が上がっている。


それもそのはず。

ボールプールの真ん前には、映像を映し出すスクリーンが設置されていた。


そこにはメルヘンチックな建物や風景映像が映し出され、その場所がここのモチーフキャラ、ハッピーくんの住む仮想空間であることを安易に想像させてくれた。

まさに遊園地の世界観に浸るには、もってこいのアトラクションである。


「やばい、ワクワクする!! はぁー、楽しみっ」

「お前、それしか言ってねぇじゃん」

「だって、それしか言えないんだもん! あ、ボール、ボール……」


呆れた顔して笑うマサトと動くスクリーンを横目に、私はハッピーボールを探し始める。



< 63 / 548 >

この作品をシェア

pagetop