Beast Love
突如、横からガンッとベンチに衝撃が走る。

お尻に蹴り上げられたような振動が響いた。

驚きながら横を見ると、チャラ男のひとりが胸ぐらを掴まれていた。


「あ、すいません。その女、俺のモンなんで」

そこにはニコニコと笑みを浮かべながら、自分と同じ体格をしている大きな大学生を軽々と宙に浮かせる、マサトがいた。


「い、いきなり何すんだテメェ……」

「男が4人かがりで女子に寄ってたかって逃げられねぇようにしてさぁ、恥ずかしくねぇの？っつか、人のモンに勝手に手ぇ出すなよ」


それだけ言うと、パッと手を離し、大学生を解放する。


「んだよ、彼氏持ちかよ！」
「あーあ、面白くねぇ」
「さっさと言えよな、ったく」
「行こうぜ」


まるで雑魚キャラが捨てゼリフを吐いて逃げるかのごとく、ワタワタと慌てて4人組は走り去っていった。


「はー、うっぜ」

鼓膜に周りの雑踏が戻ってくると、いつの間にかマサトが隣に腰を下ろしていた。


キョトンとした目をしていると、「ご主人様が帰って来たら、3回まわってワンだろうが」なんて憎たらしい言われてしまった。


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