Beast Love
ふたりきりにされた始めは、あんなに嫌だった筈なのに。


遠くに、派手に飾られた出口のゲートが見えてきた。


……マサトは今ごろ、私からようやく解放されて、「マジだるかったわー」って喜んでたりしてるかも。


「あ、もしかして今日楽しかったのは、自分だけだったりして……」


まぁ普通なら、今から白虎町くんと玄武くんに連絡取り直して、野外ショーを見るよね。



3本バー式回転ゲートを回して、非現実の詰まった『カレイドスコープ』から退場し、現実的な世界に足を踏み出す。


(あれ? よくよく思い返してみたら、笑ってたの私だけだったかな……)


なんだか、今日の出来事に自信無くなってきた……。



「おい、」


急に聞き覚えのある低い声音で呼び止められ、歩行と思考が停止ボタンを押されたロボットみたいに、緊急停止する。


「ひっ! な、なに?!」

びくりと肩を上げて声の主を確認すれば、それは先ほど別れを告げた、”今もっとも憎たらしいランキング1位”の人物で。

「あれ、なんで付いてきてるの?」

私が首を傾げると、彼は不機嫌そうに口を開く。


「気色悪ぃ顔して俺の前から去ってんじゃねぇよ。言いたいことがあんなら、どうして欲しいか、ちゃんと声に出して言ってみろよ」


「え、なに? 言いたいこと?」
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