Beast Love

自分で自分の言動の理由を探そうとすれば、大きくてゴツゴツとした手で、髪の毛をわしゃわしゃと乱された。



「じゃぁさっさと尻尾振ってご主人様の隣を歩けよ、ポチ」


あれだけ反発していたのに、彼にそう言われて見えない尻尾が、左右に揺れた錯覚がした。


「はいはい。はぐれないようにしてよね」

「お前と一緒にすんな」


斜め前を歩く、憎たらしい広い背中を、早足で追いかける。


「ちょっと待ってよー!」

「歩くの遅ぇ」

「あのね、女性に合わせて歩くってこと知らないの?」

「はぁ? 今日勝負に負けたお前が、俺に女性扱いしてもらえると思ってんの?」

即答、と言うべき早さでグサグサと突き刺され、ぐうの音も出ない。

「うぐっ」


くそ、鳳凰 正人……やっぱり、憎たらしい。
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