Beast Love
ぼーっと放心状態でまだダンボールの残る部屋の片隅を見つめていると、数時間前の記憶が思い起こされてゆく。


『付き合ってやるから、どこか行きたい場所あったら言えよ』


相手に合わせることが出来るんだ〜っかと思えば。


『2度もされてたまるかこの変態犬ッコロまじで殺すぞ』


年ごろの女子に向かって、変態呼ばわりしてきたり。


『男が4人かがりで女子に寄ってたかって逃げられねぇようにしてさぁ、恥ずかしくねぇの?』


大人数にも物怖じせずに、堂々と助けてくれたり。


『ほらよ、これで両方食えるだろ?』


味の違う食べ物を半分こずつ、なんて女子のツボを抑えていたり。


『ホントお前って……面白い奴、だな』


思わず手を伸ばしたくなるような、雰囲気を見せつけてきたり。


「…………変な人」




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