Beast Love
「あの、すみません」

いつの間にか机の横に立っていた女子生徒に突然、声を掛けられる。

「うわ!」


予想だにしていなかった人物の登場に驚いた私の吐息が耳打ちしようとしていたハルカくんの右耳にかかったらしく、「あふんっ」と気持ち悪い声を上げられてしまった。


「ちょっとノゾミちゃん、いきなりやめてよーっ」


きゅっと耳を抑えて頬を染めるハルカくんも、隣に立っている女子生徒の存在に気付く。


「あれー? 僕たちに何か用?」


清楚な黒髪を揺らし、これまた中々に可愛いJKにランクインする容姿の女子生徒は、私たちに手紙を差し出した。



「これ、教室に来たら、玄武 輝くんに……彼に、渡して、くれませんか?」


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